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雪中キャンプ2013(1日目) [旅]

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(そのうち動画もアップします)


2月も末だというのに、青森のとあるところでは観測史上最高の降雪量を記録したという。雪の重みでつぶれた家も現れた。それほどまでに日本海側は記録的な豪雪だった。
日本海側は。

その豪雪をもたらす雲は、落としきれなかった水分を山を越えた北関東にも降らせていることだろう。日光で震度5強の地震があり、孤立した温泉宿のニュースなどをテレビでやっていたが、それを見ると確かに北関東の山には雪が豊富のようだ。にもかかわらずみかど隊長はまたもやいつもの山梨での開催を宣言した。去年の雨の耐寒キャンプが脳裏をよぎる。雪、あるのかあ?

それまで気温だけは申し分なく低かったのが、開催2日前に雨と4月中旬並の高温というのを浴びせかけ、ますます不安をかき立ててくれる始末。KOFでいつもお世話になっている雪センターのライブカメラ映像を毎晩食い入るようにチェックする日々が続いた。富士見から諏訪にかけての国道20号脇に色の白いものが堆積していることは確認できた。あれが氷でないことを祈るのみだ。


金曜日仕事が終わって帰宅すると、まずは晩飯を食った。外は雨である。ちなみにあっちも雨だという。雨の中トランポにバイクを積むのは嫌だなあ。明日の朝早起きして積むか?などと駆け引きをしつつキャンプ道具の準備をして風呂も入った。そうこうしているうちに雨がやんでくれた。

よっしゃ。それじゃいつものように夜中移動すっか。

意を決してトランポにバイクとその他一切合切を積み込んだ。買い出しと給油をし、地元を出たのは午前1時をとうに過ぎたころだった。
KOFではないが、夜中移動は道が空いていて、暗くて余計なものも目に入らず、早く移動できて好きである。なので八王子まで下道で行き、そこから中央高速に乗った。
そしてこれまた毎度おなじみの談合坂SAで休憩に入った。
夜中の談合坂SAのフードコートは数軒のお店しかやってない。ん?いつもより開いている店が少ないぞ。
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しょうがないなあ、これじゃ選択のしようがないじゃないかといつつ、またまたいつも通りの伝説のスタ丼を食うのだった。夜中にハイカロリーすぎるって?エネルギーいるんだよ、夜中移動は。
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ひと月前来たときはまだ例の天井崩落事故で対面通行だった笹子トンネルも今や通常に戻り、甲府盆地の扇状地を夜景で形どった勝沼からの眺めまですぐだった。
しかし雨で出発が遅くなって、かつのんびりスピードで来たせいか、あるいは八王子まで下道で行って多少神経を使ったせいか、いつもなら3時頃道の駅蔦木宿に着いているのに、この日は4時頃ようやく双葉SA。ここで眠気に負けて移動をあきらめた。しかし何ら問題ない。なにせうちのトランポは屋根を上げればいつでも寝床が現れる、ステップワゴン ホワイトハウススペシャル・ライジングデッキである。冬用シュラフもある。宿泊には時と場所を選ばないのだ。
ではおやすみなさい。



ところが。

ビュオー!ゴーゴー!グォー!!ユサユサユサ。


何事かという物凄い突風が吹き荒れているのである。背の高いワンボックスにさらに屋根を上げているので、ひっくり返るのではという恐怖でおちおち寝てられない。
時と場所を選ばないと言ったが、場所は選べるものなら選んだ方が良いようである。まあ今回は無理だが。
しょうがないなあ。
屋根を畳んで、助手席と2列目シートを倒してつなげて、そこで寝ることにした。まっ平らな屋根の寝床と違ってゴツゴツして寝心地悪いが、バイク降ろさずに寝られるスペースがあのだからステップワゴンはすごい。窓にスクリーンがないので駐車場の街灯が目に付くが、疲れのおかげで寝付きはよかった。






夜が明けてからも風は収まらず、周りの木々が暴れる化け物のように踊っていた。顔を洗ってモーニングコーヒーを仕入れてくると、午前9時、双葉SAを後にした。

第3集合場所の道の駅蔦木宿に着いたのは10時頃。
バイクを下ろし、ライディングウェアに着替えて、キャンプ道具などをバイクにくくり付けていると、隣の車のおっさんが話しかけてくる。
「これからこの辺走るのかい?いいなあ。ワシも若けりゃやりたいなあ」
元自衛官だというおっさんは、家に閉じこもっているのがいやのようで、バイクでないにしても車でわざわざここにやってきた。それで何をやってるかというと、車の中で本を読んでる。

一通り準備が整うと、昨夜買っておいた弁当で遅い朝食、あるいはちと早い昼食を取った。
そして11時半頃、KOFとは異なるが、次元はほぼ同じ変態・・・もとい、冬遊びの達人ライダー達が到着した。

ここに集った変態・・・もとい、真冬を楽しむツーリングキャンパーは、みかど隊長を始めとし、キャンプマンさん、雪中の芸術家key☆さん、ITキヤノンボーラーケータロー、TDR友の会でもお馴染みのK氏、そしてTSO。


まずは例年の林道の状況をたしかめてみようと、スキー場横の林道へ。

舗装路がダートに変わるところから、路面はダートではなく分厚い氷になっていた。緩やかな登り坂は逆から行けば絶叫滑り台であった。
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続いてすっかり舗装が進んでしまったいつもの林道へ。
こちらもかつてちょうどダートが始まったところから路面はスケートリンクとなり、とてもじゃないがノーマルタイヤでは行けない。アブノーマルタイヤのケータローとTSOは試しに入ってみた。アブノーマルなゆえどんどん行けるのだが、行っても行ってもスケートリンクである。我々は雪と戯れたいのだ。
「残念ですが、ここもダメです」
「えー?どうすっか」
いわんこっちゃない。
もめにもめて、ここから遠いが、人に迷惑かけることなくキャンプが可能な黒河内林道まで行くことにした。


しばし普通のツーリングとなる。
杖突峠までは両脇に雪も豊富。しかし高遠や三輪湖周辺は雪が極端に少なく、黒河内林道の谷筋に入っても山の斜面に雪がない。まさか今年も失敗か?!

絶体絶命の雪中キャンプ!

我々変態・・・もとい、冬こそバイクでキャンプ同好会は、果たして目的を達することができるのだろうか?






黒河内林道の舗装区間を奥へ奥へと行くキャンプ道具満載のバイク達。路面はカラカラに乾いている。
日陰なところでようやく現れたのは雪道ではなく、カリコリの氷道。アブノーマルタイヤのTSOが進んでみると、スケートリンク区間はそれほど長くないとわかった。が、もう誰も行こうとするものはなかった。

わずかに戻ったところに河原まで車が降りれるようになっていて、下が広場になっているところがあった。鎖があるが、道路の脇から降りれば向こうに入れる。鎖から下の河原までは雪がたっぷりあった。
K氏とTSOが乗り込んでみて、雪の深さやルートも確認取れると、みんな河原まで降りてきた。川に沿った谷筋は南北に通っており、未踏の広場はまっ平らな広い雪原となっている。空も開けていて、このまま晴れていれば星空も望めそうだ。

広場の中央を宴会場と決めると、各位はその周囲に散らばって、好きずきな場所にテントを張った。毎度寝床がすぐ出来上がるのは、手慣れたK氏である。


続いて雪のテーブル作りへ。

雪原のど真ん中でキャンプマンがプラスチックスコップを振るっていた。毎度雪中キャンプお馴染みの宴会テーブルを作っているのである。しかしそこはメンバーで一番の年寄り。すぐ疲れてしまって、みかど隊長に交代した。だがみかど隊長もどうも風邪気味を押してやってきたとのことですぐダウンしてしまう。ということで他の人に次々にバトンがタッチされていく。

テーブル作りはこうだ。まずはとにかく雪を集めてくる。雪が集まってくると、カマクラでも作ろうかというように雪の山を作っていく。適当な直径になったところで上を平らにして、富士のすそ野のようになだらかに広がっている側面を切り落とす。そして雪原の美術監督key☆さんから「真ん丸にしなさい、真ん丸に」と厳しい造形チェックが入るのである。

「きれいに出来ましたよ!」
「中華料理屋みたいにターンテーブルにしたいなあ」
「ところで少し小さくない?もう少し大きくしようよ」
再び周辺から雪がかき集められる。

大変な労働であるが、日が当たっていて雪が少し溶け気味で水分が多く、ペタペタとよく張り付くので作りやすかった。
「この辺出っ張ってるよ。こっちを盛って下さい」
「ちょっと、今度はここが凹んでますよ」
「楕円になっちゃってるじゃないですか!」
key☆さんの指導は厳しいのだ。

雪をスコップに乗せてビンタするように張ると、餅でも投げたかのように雪が張り付く。それを左官屋担当の人がきれいに均していく。そうやって微調整しながら次第に形になっていく。
最後に今回新機軸、足を伸ばせるよう掘り込みを入れた。
完成~。
すご~い。

まだ日が明るいうちにキャンプサイトが出来上がってしまった。いつもなら少し暗くなってくるくらいにこんな状態になるのに。
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ひとまず完成を祝って
「乾杯~」
と早々ビールの缶を開けた。
労働してのどが渇いたところに、氷点貯蔵のビールが旨~い。

しかしほどなく、少々手持ち無沙汰気味。ろくなつまみもない雪の円卓を前になみんなは顔を見合わせた。
「宴会、始めますか」

TSOの今回のメニューはおでんである。そして毎度書いているが、極寒の中で激辛を食って汗をかくというのが目標だ。よって単なるおでんではなく激辛おでんである。
右横を見るとそこにはK氏。何か串に刺しているが、あれ?
「K氏、何を作られるんですか?」
「おでんですよ。私の寒いときのキャンプといえば、いつだっておでんです」
そういえばK氏発案の、紅葉深まる時期に開催していたTDR友の会のイベントはおでんキャンプツーリングであった。寒い時期にキャンプはおでん。そうかぁ、あれは紅葉は関係なくて、気温との必然的セットだったのかあ。
味は違うとはいえ、TSOもおでんである。これはまだ手を着けない方がいいと、しばらく傍観することにした。左横には同じく傍観者に徹しているケータロー。目の前にはカップ麺が置いてあるものの自力で何か作ろうという気配はなく、できあがってくるものを今か今かと待っているようだ。
ほどなくみかど隊長から配給が開始された。100均材料のお手製焚き火台で炙ったソーセージやモツ焼き。
key☆さんは当初ブロッコリーを茹でていたが、タバコをくわえている以外は暇してた口が危うく飲み干しそうになったワインを慌ててこらえて、溶かしたピザ用チーズに流し込むと、雪中キャンプ定番のチーズフォンデュの準備ができた。先程のブロッコリーやフランスパンなどを泳がせて、旨~い。
一方K氏は、家で作ってきたという酸っぱい特製スープで煮たおでんが完成。酸味がつみれとかにもよく合って、これまた旨い。

気温はどんどん下がり、ビールは早くもシャーベットになりつつあった。今日はかなり冷えそうである。
みんなのをつまんでいると、左横ではケータローが寝転んだ。
「いやあ、自分で作らなくても十分だねえ。お腹膨れてきた」
ナヌ?!
なにをカソリさんみたいなことを。TSOはまだ作ってねえぞ。

日も暮れて暗くなってきたので、そろそろ何を投入しているか見えなくなってきて作るに好都合な時間。調理シーンを見たら誰も箸を延ばさないに違いないものに取りかかった。
スーパーで普通に売っている汁付きのおでんセット2袋にゴボウ揚げや揚げボール、味玉などなどを入れて火にかけた。ここまでは普通のおでんだが・・。
ここから運を天に任せてなぞの調味を始める。目をつぶって真っ赤っかな赤とうがらしを数え切れないほどボキボキと投入し、食べるラー油をスプーンで数え切れないほどすくって入れ、調味料入れに入っているのを見つけてしまったガラムマサラもパラパラと振りかけ・・・。
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それより残りガスが少なくて火力不足なガスストーブが、なかなか鍋を暖めてくれない。時間がかかりそうだ。

煮えなくて先が見えないでいるころ、キャンプマンから手の込んだ料理が回ってきた。余ったチーズフォンデュにワインを追加して作られた濃厚な味のポークソテー。これはビールが欲しくなりますねえ。
でもまだ明るいうちから宴会を始めてしまったので、ビールがもう心許ない。

そしてようやくTSOの闇おでんが完成した。できるまで時間がかかったので、一度腹の膨れたケータローも少し隙間ができたようで、どれどれと手を伸ばしてきた。毎度TSOの作る怪しげな料理を密かに待っていてくれるkey☆さんも、できたと聞いて箸を伸ばしてくる。どれどれ。
「うお!後から辛さが来る!」
「ヒー!!」
「これもビール向けですねえ」
この口に来る刺激具合からして、尋常でない辛さのはずである。寒いから食えているのである。部屋で食ったら間違いなく水をかぶったように汗ダラダラになっているはずである。しかし、気温はますます下がり、ワインや日本酒にも氷の筋が立つほどになってきたこの世界では、とうとう汗が出ることはなかった。完敗だ。

実際何度なんだ?K氏の温度計はマイナス7度。夕方もマイナス7度って言ってなかったっけ?一方、みかど隊長のバイクにくくりついている温度計はマイナス10度を超えた。久しぶりの大台突入だ。






空は晴れて、予想通り満天の星空が頭上に広がっていた。最近ロシアに隕石が落ちたばかりである。探すは次なるハルマゲドンか。あれはプレアデス星団こと昴だ。オリオン座の三つ星の下にはオリオン星雲。
一方熱がありそうと具合悪そうなみかど隊長は、北の空を見上げて北斗七星に当たり前のように死兆星が見えているので、
「かなりやばいみたいだ」
と、テントに上半身だけ突っ込んで倒れてしまった。この姿、以前いがさんが同じ事になってたのを見たことがある。しかしあの時はキャンプ地に着いてすぐのまだ日があるとき。今は夜で冷たい風が吹きすさび、まだまだ気温が下がっている最中だった。
「あのまま尻出して寝てたらどうなると思う?」
「死ぬんじゃない?」

キャンプでは時計が独特の進み方をする。最初はなかなか時間が進まない。特に遅いのが19時前後である。しかし21時22時辺りから急にターボがかかり、一挙に日付を越えるのだ。だがこの日は一向にターボがかからなかった。
日のあるうちから宴会が始まったからだろうか。
いや、酒が尽きかけているからだ。
雪女の息のような冷たい風が谷を抜けていく。今寝たらさぞ健康的だろうが、夜が長過ぎて絶対夜中目が覚める。気温はまだまだ下がろうとしているというのに・・・。
もう限界だ。禁断の技にでるしかない。
「焚き火、やろう」

マグライトを手に一斉に河原一帯へ散らばっていった。
得体の知れぬ動物の骨(結構でかい)が落ちてたりと、夜の薪探しはなかなかスリリングである。それでも段を取ることの方が優先度高く、次々に薪となる木がかつぎ込まれてくる。低温で乾燥しているため、多少生木であってもポキポキと折れるので、枯れ枝と見分けが付かない。
枯れ木の集積場所に気付いてしまったみかど隊長が這い出てきた。
「お前ら、俺のテントに近すぎだ!もっと向こうでやらんかばか者」
死兆星が見えているくせして、まだ火葬にはなりたくないようである。

ほどなくオレンジの炎をあげて焚き火が出現した。
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なんという暖かさ。なんという心地よさ。
寒々とした心も体もとろけだし、会話もまた弾みだし、キャンプの時計も一挙に動き出した。火をいじっているだけでどんなに楽しいことか。

焚き火の面白さは1年通していつでも感じられるが、焚き火から得られる暖のありがたみは、絶対極寒キャンプでないと本当の理解はできないだろう。
くべる木がなくなってくると、お開きかと思いきや、
「もう少しやろうぜ」
と、またまた周辺に燃料を探して散らばっていく。
あれほど動かなかった時計は、午前1時を指していた。


次の日へ続く

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